資料やらいろいろの書類を抱え歩きづらそうにしながらも後ろを付いてくる坂田と何か取り留めのない言葉を交わしつつ、頼光は足取りも軽く廊下を歩いていた。荷物を全て持たされた坂田は、すたすたと先を歩いていく頼光に追い付こうと懸命に歩を進めながら、彼のさらさら揺れる黒髪や細い後ろ姿に見とれていた。歩く微風で紙が飛ばされないよう、坂田なりに注意しているつもりだが、気付けばその眼は頼光ばかりを追う始末、遂に一枚二枚とやられてしまった。ふわりと浮かんだ紙を慌てて押さえようとした拍子に三枚四枚、仕舞には十数枚宙に舞った。
 派手に散らかった大きめの紙吹雪をかき集めるべく情けない叫び声と共に床に崩れるように膝を突いた幼なじみを視界の底に見送って、非難の言葉を適当にぶつけながら頼光は何の気なしに右方の大きな窓へ眼を遣った。今日は気分がいいから、ほんの少しだけ待っててやる。
 ちょうど玄関前の吹き抜けに差し掛かったところで、頼光のいる二階からは広々とした玄関やきれいに手入れされた庭がよく見えた。この頃は気候もよく爽やかな新緑が眼に優しい。
 不図その中に、軍服姿の渡辺を見つけた。何かと思えば、女と別れるところらしい。ああ、また打たれてる、頼光は呆けたような顔で外を見たままぽつりとそんなことを思った。どこの女だろう、恐らく今日限りでもう眼にすることも無いのだろうけれど。

 一方坂田は頼光の機嫌をこれ以上損ねないように、なるべく早く書類を集めようと努めていたが、急に途切れた彼の叱責にヒヤリとした。自分の行動やその鈍さが彼をますます不機嫌にさせているのかと思うと、今にも胸が潰れてしまいそうだった。そっと窺うように顔を上げると、頼光は黙り込んだままどこか遠くを見ていた。
 ズキリ、と胸が痛んだ。その視線はずれることが無く一心に何かを見つめているように見えた。今の今まで、まるで2人だけの世界にでもいるような浮かれ心地でいた坂田は自分の浅はかさに悲しくなった。一体何が頼光の視線を奪っているのだろう。それが自分でないなんて。自分であって欲しいと思っていたなんて。
 反射的に視線の先を辿ろうとしたその時、いつの間にこちらに気が付いたのか、頼光は手すりに置いていた手を滑らせると、素速く坂田の胸倉を引っ掴み噛みつくようにキスをした。触れる程度のそれでさえ、坂田の意識を奪うには十分だと頼光は知っている。
 案の定、坂田は拾い集めたばかりの書類を次々に落として放心している。(本当、扱い易いやつ。)頼光は足元に広がった紙にわざとらしく目を落とし棘のある言葉をぶつけてやると、坂田は弾かれたように頭を下げ何か勢いよくまくし立てながら散らばった書類を集め始めた。顔を伏せるとき一瞬見えた緩んだ口元が何だか無性に癇に障ったので、頼光は、今度は無言でさっさとその場を後にした。









おつです

次の段落はまだ半分しかできてなく、まだいじりたいのでここまでしか出せないのですが
いつか出せたらいいなあ
とても読みづらいかと思います。小段落で分けてるけど、あたし段落わけ壊滅分らないんですよね
文章書くのは目新しくて面白かったのだけど、慣れないことだから、見苦しいとか難点いくつかあるのかな 気付けなくてごめんなさい
あたしはこれでいいと思ったから出したんだけど。\(^p^)/
お誕生日に間に合わなかったけど誕生祝でも何でもないので(´p`)あたしの趣味です
推敲の余地はありますが、切が無いので
とりまここまでー 読んでくださりありがとうございます(090725)















SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送